氷河が生んだ日本最北の丘
北見山地が宗谷海峡に滑り込む地点に広がる「宗谷丘陵」。一見ただのなだらかな丘だが、実は地中水の凍結、融解の反復作用で形成された周氷河地形で、その突端は日本最北端・宗谷岬。
もこもこと続く丘は、標高20―200メートル。約1万年前の地球最後の氷河期「ウルム氷期」が終わると、雨水などに削られてV字形の鋭い谷が出現。長い年月を経て、現在の緩やかな尾根と、急な谷が入り組む複雑な地形が出来上がった。
丘はその後、数千年の時を経て、うっそうとした森に成長。だが、明治中期以降の相次ぐ山火事で、今は一面のササに覆われる。
手つかずの広大な土地を活用しようと、肉牛の育成繁殖を行う「宗谷丘陵広域農業開発事業」が持ち上がった。丘陵地に、東京ドーム250個分の公設では国内最大規模の「宗谷岬肉牛牧場」を開設、牛の健康にこだわった「宗谷黒牛」を生産する。
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