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岩見沢市役所ロビーに、
しばらく、駅周辺模型が展示され、
市民から「どのような駅舎がふさわしいのか」
意見やアイデアを募集していたことがあったのを、
ご存知でしょうか?

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そして、
岩見沢駅舎建築デザインコンペが、
2005年1月31日締め切りで実施されました。

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『森の中の駅舎』・その3
JR岩見沢駅設計競技・武部案


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当社の設計提案は、
3月8日にこのサイトに掲載した、
以下の詩文をシナリオにして作成されました。


  
『森の中の駅舎』

汽車が蒸気を吐きながら、森の中に停まる。
ガラスと木と煉瓦で出来た一見かわいらしい駅、
森のベンチに子供たちや老人や人々が、
用もないのにたむろする。

駅構内は、まるでパリの駅舎のように、
限りなくオープンで、森が連続しているようで、
南口も北口も区別がないようで、
それは、ガラスに被われているからで、
木に嵌ったガラスを通して太陽の日が燦々と射し込む。
またある時は、北国の豪雪が容赦なく吹き付ける。

ガラスの向こうの森の中に、煉瓦の古い建物が見える。
夏は、木々の緑に映えて、冬は、真白い雪に映えて、
あれが以前レールセンターだった市民ギャラリーだ。
それを囲むように人口水盤がキラキラ輝き、
木々の葉っぱに反射して、
夏は、子供や鳥たちが水浴びし、
冬は、市民のスケートリンクになるだろう。

そんな鬱蒼となった駅舎の森の中の広場の中で、
週に1度の市場が建って、
そこには農家自慢の野菜や卵や花があって、
そして、地元の山からとれた丸太(カラマツ)で造った木の回廊が、
南北に大胆に鉄道を横切って突き抜ける。

みんな、夢を持とうじゃないか!
その夢に、想い続ける力とセンスがあれば、
それは実現可能だろう!

ああ、100年後が楽しみだ!





サブタイトルは、
林業家・農業者・木こりで大工、そんな『ものづくり』の側からの発想
で、
駅舎を起点に街の中から森づくりを広げる、題して『森の中の街づくり』。
再開発された駅前通りは『森のストリート』と名付けられ、
森の中に商店街が展開していく。

そんな「森のめぐみ」による木に徹底してこだわり、
木組みの大架構と
その中央の暖炉を
『森のストリート』とメタセコイヤの軸線上に配置し、
大口径の地元産カラマツ丸太の列柱と
木組みのカーテンウォールを、
直行して建てる。

したがって、
1番ホーム上屋も自由通路も、
当然地元産の木が絡んでくるのです。





コンセプト図説明文章                              
1
A1

 駅舎・複合施設

A2

 駅舎・駅施設

B1

 東昇降棟

B2

 北昇降棟

C

 1番ホーム上屋

D

 自由通路

2

『岩見沢農産物大市場』(JR直結の利点)は、さらに北口『レールセンター』周辺への展開を視野に、郷土出身の現代美術家「川俣正」(芸大教授)の参画

3

 ライトアップされた美しさは、通過する列車からでも、見事に映えて1度は渡ってみたくなる。橋脚は、初期国鉄時代の鉄橋を想わせる。

4

 センターホール・36尺x36尺x高さ24尺の木の架構、木組みのガラス越しに、ホームからメタセコイヤまで見透す。

5

『市民広場公園』森の中にたつ『岩見沢農産物大市場』の展開(JR直結の利点)採れたての今日の食材を求めて、札幌・旭川方面からたくさんの人がやってくる。

6

a : メタセコイヤ・『森の中の駅舎』の象徴は、センターホールを通して列車乗客から    も見える。

7

b : 既存シェルターのアール上にえぐられたところに、中央口カラマツ大丸太の列柱が建つ。

8

  広がる「森のストリート」(駅前通り再開発)
さらに広がる木々に覆われた『森の中の市街地』(都市機能は完全)





・・・ 思い ・・・

●生まれたてのゼロ才から母の背中におぶさって利用して以来、札幌の実家に里帰りするといっては雑踏の中を手を引かれ、お祭りに遊びに行くといっては乗り降りし、高校の3年間は汽車通で通し、東京の学生時代は春夏冬の休み毎に帰省して毎度ふるさと実感し、たまに海外に旅行するときも千歳までの出発駅はここだったし、札幌での飲み会の帰りの終電車で駅員さんに起こされるのもここで、そんな51年間かかわった想いを時間軸として導入する。
●普段から身体に馴染んだ地元の自然素材にこだわり、時を刻み込んで、「風化」することなく「風合い」を増していく素材感を大切にしたい。
●木材生産、流通を主体にした寸尺モデュールによる設計。




1

屋根の雨水は、トイレの中水利用と1階インナーストリート(パッサージュ風)に点在する「水生植栽」の小池に循環させる。
さらに、勾配屋根(無落雪仕様)の太陽熱を利用して、トイレの給湯をまかなう。

2

「森のめぐみ」地元産カラマツ丸太の架構による一番ホーム上屋。1スパンおきにトップライト。

3

センターホールホーム側木組みのカーテンウォール(地元産)。列車から軸線を通して、暖炉の炎、メタセコイヤ、森のストリートのイルミネーションが見える。

4

センターホール・36尺x36尺x高さ24尺の木組みの大架構(これも物産展示のひとつ)が圧倒的迫力で迫る。

5

中央暖炉(10尺x10尺)は、解体現場からの廃材や「森のめぐみ」剪定木を薪にして、常に火を絶やさないような管理がなされる(産廃問題)。
暖炉とその煙突(パッシブ換気兼用)をシンボルにして、クリスマスイベント・市民広場のクリスマス市の開催。

6

駅広場に面して一体となった「インナーストリート」(パッサージュ風)は共用動線部分と併せて低温水床暖房(基礎・外壁・開口部・屋根と連続する高断熱高気密仕様・鉄骨造外断熱工法)
:やわらかい陽差しが深くサンサンと差し込む(3尺ピッチで連続する木組みのカーテンウォールの美しさ、道産エゾトドマツ集成)。
:どこからともなく吹き抜ける爽やかな風(西駐車場・東市民広場の利雪を考えた設備)。

7

水生植栽。水を浄化し、長い冬の間の室内環境に適度な湿度をもたらし、緑の憩いをベンチに腰掛ける人たちにもたらす。

8

「森のめぐみ」広場と一体となって陽差しを取り込む130mにおよぶ圧倒的長さの木組みのカーテンウォール(3尺ピッチ単純連続の美しさと量的コストメリット)。

9

3カ所の出入り口のシンボル、「森のめぐみ」カラマツ大丸太の列柱(6尺ピッチ・500φ、地元産)。
既存シェルターのアールに合わせてメタセコイヤー「森のストリート」駅前通りの軸線上でえぐれる中央口。

10

「森の中の駅舎」の象徴、「メタセコイヤ」が列車乗客もから透かして見える。
二階の展望デッキからのクリスマスイブのイルミネーションが美しく、大勢の老若男女でいっぱいになる。
両翼シェルターに挟まれた中央のメタセコイヤに続いて、駅前通り「森のストリート」の中央イルミネーションも軸線上にきれいに連なる演出。
一時は郊外の大型店舗に流れていた市民が「ほんもの」を知って、戻ってくるのではないだろうか。

11

施錠システムの各出入り口、全部で7カ所。断熱区画になっている。

12

自由通路。
橋脚廻りは、初期の国鉄時代の鉄橋。
セーヌ川にかかる17世紀的構造美のポン・デ・ザール橋を想わせて、ライトアップされた美しさは通過する列車から夜空に見事に映えて1度は渡ってみたくなる。
100mにもおよぶ単純連続する木柱(駅舎と同じ3尺ピッチ)とガラス(Ar Low-E)の繰り返しの美しさ。
内部空間は、これまた郷土出身「川俣正」(芸大教授)によるストリート演出とトップライトから望む星空が美しい。





図面クリック・拡大図&説明文





模型写真1:メタセコイヤを通して、中央口列柱・木組みのカーテンウォール、
さらにセンターホール木組みの大架構を見る。



模型写真2:上空から見た軸線上の位置関係。


  
模型写真3・4:130mにおよぶ木組みのカーテンウォール(地元産)を東西から見る。
圧倒的スケールで駅前広場と一体となる。




2月6、7,8日と376全応募作品が、一般公開されました。
時間の許す限りじっくり見させてもらいました。
プラン上では、大きく広場側に通路が来るカーテンウォールタイプと
中央に通路が来るレンガの壁などのタイプとに別れたようでした。
1部、オープンなピロティタイプなどもありましたが・・・
それで、一体どんな案が実施案になれば良いのか、
と考えるに
雪に埋もれた長い冬のことを考えると、
どうしても僕は、
太陽がサンサンと差し込む
カーテンウォールタイプではないかと思うのです。
ただここで一歩踏み込んだ時に、
冬季の室内環境を考えたときの換気や暖房によるその爽やかさの演出や、
岩見沢駅のロケーションを読み切った案というのは、
自分が市民の立場になったときに、
本当に、はまったモノはないように思ったのです。
だから、
武部案が、
実際にあの場所に建ちあがったとき、
まるでいままでそこに当然建っていたかのように、
すんなりとロケーションに馴染んで、はまっている、
という練り上げたコンセプトと
そこから生まれたかたちに、
いまだに誰にも負けていないという自信はあるわけです。
というか実現したら、すばらしいだろうな、
という思いです。
(設計者としての思い入れが当然あるわけですから・・・)
ただ、他の応募案の中には、
さすがにプレゼンテーションテクニックのすごい人たちがいっぱいいましたねぇ。

さて、その一次審査の発表が本日、
ネット上でなされるということになってます。
どんな結果になるのやら注目!


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『森の中の駅舎』・その4



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