北海道開拓の村旧武井商店酒造部棟ほか改修工事
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2020.02.21
厚別にある、歴史建造物を展示している「開拓の村」にて2つの建物の改修工事を行いました。
無事、引き渡しが完了したので工事の様子をお知らせします。今回改修するのは「旧武井商店酒造部」と「旧三ます河本そば屋」
(写真の赤丸)
どちらの建物も明治に建てられた建物を、開拓の村に移築しています。
上が旧武井商店、下が三ますそば屋それぞれ改修前の写真です。
改修は何もかも手を付けるのでは無く、使える既存材はそのまま使用するという基本方針で進めます。
仮囲い設置後は、新築とは違い外部足場からスタート。
外部足場組立後は上屋パネルを設置します。
上屋とは、工事を行うために設置する仮設の屋根で、天候に左右されること無く屋外の作業が出来ます。
1〜3枚のパネルを接続してクレーンで揚重しました。
周囲にもシートをかけて建物をすっぽりと覆います。
大工さんの仕事は多岐にわたります。
主な作業は、屋根役物の取り替え(淀・破風・広小舞・鼻隠しなど)、外壁下見板の新設・再取り付け、三ますそば屋の構造補強、庇板の取り替え、窓格子の取り替え、木塀の撤去新設などです。
屋根材を葺き上げる為、まずは屋根役物の取り替えから。三ますそば屋の構造改修の一環として、内壁の撤去及び新設を行います。
既存の土壁を撤去することで建物の重さを低減し、建物に大きな地震力が伝わることを防ぎます。
新しい壁は木下地に石膏ボード+漆喰で施工します。漆喰の塗り替え。
既存の色に合わせて調色しています。
砂壁も仕上げていきます。
外壁、床には構造用合板を施工。
耐震性能を高めます。屋根はこけら葺き。写真は既存の屋根の状況です。
手割り板を屋根に葺き上げます。材料はサワラ。
施工できる職人さんは限られているので、岡山から職人さんに来ていただきました。
まずは軒先に銅板の水切りを施工し、その上から手割り板を葺き上げていきます。
10列葺き上げる毎に銅板を差し込みます。
銅板は苔の発生を抑制する効果があります。
葺き上がった後はとても綺麗ですが、職人さん曰く雨などにより数週間で改修前のような色に変色してしまうとのことです。
この写真も工事中だからこそ見れる景色ですね。
三ますそば屋さんの正面にある「煙出棟屋」
こちらは全て解体の上、新設しています。
細かな部材一つ一つを既存に合わせて加工・組立をします。塗装をして完成。
外壁にはタイベックを貼り、防水します。
下見板の施工。
一部曲面の軒がありましたが、、
綺麗に貼り上がりました。
屋根の棟飾りも風化してボロボロでした。
新しく製作した写真です。
材はタモの無垢材を使用しています。
とても綺麗に仕上がりました。
武井商店の土間は三和土に消石灰、苦汁(にがり)を混合したものを叩き締めたものです。
今回はその土間補修も行いました。
足場解体後の状況です。
引き渡し前の写真。
新材と再利用した旧材は見た目ではっきりとわかりますが、しばらく時間が経過して少しずつ旧材の色になじんで行くことを期待して色決めしていただいています。