「北の民家モデル」令和版
<北の民家モデル>とは
平成21年度国土交通省地域木造住宅市場活性化推進事業として採択され「NPO法人北の民家の会」がその基本的な考え方を報告書としてまとめたものです。
さらに平成23年度林野庁地域材供給倍増事業の水平連携等木材産業活性化のための支援・地域型住宅づくり支援事業として同NPO法人が設計マニュアルを作製しました。
<北の民家モデル>は桁行6間梁間4間とし、耐力壁の位置及び柱の直下率を考慮した建物で、古民家の田の字型間取りを基本としてます。
今回の<北の民家モデル> 「令和版」はお客様のご要望もあり伝統工法の要素を出来るだけ取り入れたものとなってます。長ホゾ込み栓、通し貫工法、渡りアゴ工法など、継ぎ手、仕口に於いても現代の工場プレカット工法、2*4工法ではなし得ない大工の知恵と技が随所にみられます。今回は墨付けから手刻み、建て方を経て棟上げまでをご紹介します。
北の民家モデル 「令和版」仕様書
基礎 鉄筋コンクリート布基礎t150両面FP板t75㎜打ち込み
主要構造 構造材は全て道産カラ松材(4寸仕様)
断熱仕様 外壁 高性能GWt90+t90=t180
屋根 高性能GWt140+t140+t105=t385
開口部 断熱樹脂サッシ トリプルガラス(アルゴンLow-E)
外壁 1階:道産カラ松下見板t18張り
2階:ラスモルタル下地のうえ漆喰仕上
屋根 ガルバリュウム鋼板t0.35蟻掛け葺き
軒天 道産カラ松羽目板t15張り
内部床仕上 構造用合板t24下地 道産カラ松フローリングt30
内部壁仕上 PB12.5下地 地元訓子府産消石灰を使用した特製漆喰仕上
天井仕上 PB12.5下地 道産カラ松羽目板t12張り
暖房設備 薪ストーブ+床下温水暖房
換気設備 第3種換気
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2020.12.01
吹抜の居間からダイニング
薪ストーブのある居間、両側にある力壁と手前の畳スペースがこの家の特徴です。
薪ストーブ廻りは床壁軟石を使いました
調理台兼食卓カウンターは富良野東大演習林にて落札したマカバを使いました。
洗面化粧台も大工さんの造作です。
トイレのカウンターもカバ材です。床は石張り。
玄関ホールは昔懐かしい根太天井。
今では珍しい縁側。
通しの大黒柱と長さ4間の梁を伝統工法を駆使した継ぎ手、仕口。
1階はカラ松の下見板、2階は漆喰仕上。
玄関と縁側廻りの回廊。
4月に着工し完成時には既に紅葉も終わりかけてました。
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2020.10.29
3年生のマッチが小屋束の込み栓穴を調整中
屋根は付加断熱グラスウールt105㎜を入れてタイベックシートで覆います。
内側からは構造垂木2*12@455の間にt140㎜のグラスウールを2重に入れt280㎜にします。よって屋根断熱はトータルで15+280=385㎜。
屋根の仕上げはガルバリューム鋼板t0.35蟻掛け横葺きで無落雪屋根とします。
外壁の断熱は軸間にt42㎜+t50㎜=t92㎜
外壁付加断熱は2*4材の下地にグラスウールt90㎜
外壁もタイベックシートで覆って通気胴縁を井桁に打ちます。
回廊の屋根も隅木、野地垂木表しで和の雰囲気です。
外壁は1階が羽目板張り、2階がモルタル下地に漆喰仕上げ
渡部棟梁は階段の造作中
3年生の五十嵐君は押入造作
漆喰の材料、左から訓子府産消石灰、白雪スサ、北海粉ぎんなん
前日に良く混ぜて作り置きします
真壁造りなので仕上げも大変です。
薪ストーブの炉台を地元石山軟石で積みます。
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2020.08.20
先ず棟梁が手板をおこします、この段階で構造材の断面及び継ぎ手、仕口などがほぼ決まり、建物の概要が棟梁の頭に描かれます。
墨付け台には様々な道具が用意されてます。
太鼓梁の通り芯を設定し継ぎ手の墨付けをします、これは重要な作業なので、渡部棟梁も作業に集中してる処です。
棟梁が墨付けした材料を刻んでるのは3年目のマッチこと柳原万智子ちゃん
こちらは2年目のカツこと岩木克仁くん
刻み終えた継ぎ手
渡りアゴの加工部分、この上に桁が噛み合って乗っかります。
建て主さんが来社、大工さんの作業風景を熱心に見学され感激して帰られました。残念ながら非公開。
いよいよ建て方です。
土台と柱は長ホゾ込み栓打ち
余分な込み栓の頭はカットします
今回はナラ材の角込み栓を使用
柱には通し貫を入れながら建てていきます。
通し貫は楔で固定します
間仕切り部分の力壁、最終的には止め栓を打ち込み表しになります。
2階の梁、4間を一本物で掛けます。これは昨年の冬に山から切り出し特別に製材して貰ったものです。瀬上製材所さん有り難うございます。
樹齢ほぼ80年の命を頂いたので、この建物は最低80年は生きてて貰わなくてはなりません、ちなみに木材の強度は製材して80年目(樹齢)にピークを迎えると言われてます。
桁が渡りアゴで梁の上に掛かります。
棟梁が苦労して墨付けした太鼓梁を上げる準備です
クレーンで吊り上げ所定の位置にゆっくり降ろしていきます、仕口を痛めないよう慎重に作業を進めます。
複雑な仕口に梁を納めるところ、ピタリと噛み合うとホットします。
ある程度納まったらカケヤ叩いてゆっくり降ろします。
梁が納まったら小屋束を立てます。
小屋梁の上に渡りアゴで母屋を掛けます
若手2人で最初の棟木をのせてるところ
感動の瞬間
全ての棟木を載せます
込み栓打って完了
棟梁と共に感動の記念撮影