Story 物語

北広島市・Iさん宅
夫婦40代、子ども1人

28歳で北広島の分譲地で新築をしたIさんご夫妻。「注文住宅だったのですが、何年住んでも今一つしっくりこなくて、いつかは納得のいく住まいを建て直したいと考えていたんです」そう考えるようになった奥さんは、売地を探しては見に行くのが、日々の楽しみの一つになっていました。そして8年前、北広島市の住宅街にある120坪の土地と出会いました。

カラマツの外壁が周囲の景観に溶け込むIさん宅

土地の半分は市街化調整区域内で、宅地として使えるのは三角形の60坪のみ。いわゆる旗竿変形地ではありましたが「地域の人々が手入れをしている公園や小川に接する自然豊かな環境がひと目で気に入りました」という奥さんは、購入を即決。以来、新築の依頼先を探しながら、理想のわが家のイメージをゆっくりとふくらませていきました

左:裏手の小川がある公園は市街化調整区域になっているため、景観が変わることはない 右:玄関土間は間仕切りなくそのままLDKにつながり、大開口越しの四季の風景が、帰る家族、訪れる人を迎える

リビング吹き抜けには、Iさん宅のシンボルともいえる白樺や公園を望む3連窓を設けた。風格のある親柱は、武部建設でストックする古材から、棟梁が空間に最も似合うタモ材を選んだ

「いろいろ、検討を重ねていたのですが、知人が武部建設で建てた木の家がどうしても気になっていたのと、大工さんの技術を大切にする真面目な社風が印象的でした。この土地なら、武部建設の木の家が似合うのではと思いました」と奥さん。当初は2度目の新築に関心が薄かったIさんも、武部建設のオープンハウスを訪ね、木へのこだわりを感じさせる住まいが「好ましい雰囲気」と感じたといいます。「武部社長と木の話が弾んで、家づくりの姿勢にもしっかりとした芯があると感じ、正式に新築の依頼をしました」と、2年前を振り返って語ります。

キッチンに隣接して設置した薪ストーブは、炎の美しさに定評のあるドブレ社製。これから調理にも活用したいと考えているそう。薪ストーブ下の防火タイルとフローリングは床面を揃えた

ご夫妻が希望していたのは、薪ストーブを備えたオープンなLDKのある小さな木の家。「家族の生活動線や趣味にフィットする、無駄な空間のない家にしてほしいとお願いしました」と、奥さん。

高さを抑えた収納カウンターで間仕切りしたキッチンは、造作仕様。ラフな暮らしが似合うキッチンを目指し、オープン収納を採用。キッチン奥には、パントリーも備える

担当の佐藤さんは、恵まれた環境を生かした開口プランと、壁面いっぱいに本棚を設けたスチール階段を提案。「縫物や本、雑貨、自転車と、私の好きなモノを見せて収納する提案は遊び心いっぱいで、武部建設の知られざる一面を見たような気がしました」と、奥さんは打ち合わせ時の驚きを語ります。

軽やかなスチール階段の壁には、奥さんが集めたカードや小さな絵が飾られ、空間に楽しいリズム感を与えて

左:階段下は床高を下げ、手仕事が好きな奥さんの趣味スペースを設けた。公園を望む小さな開口も設けられている 右:壁一面に本棚を設けた階段の踊り場には、読書が楽しめるベンチもある。間接照明を施したスプルース張りのアール天井の遊び心あふれるしつらいが、奥さんを喜ばせた

2019年の暮れ、Iさん一家の2軒目のわが家が完成。玄関から間仕切りなしでつながるLDには、背後に広がる林や公園を一望する大開口が設けられ、外部の自然が室内に染み込むようです。

2階主寝室は、階下から延びる薪ストーブの煙突が運ぶ余熱で、冬はほんのり暖かい。窓からは裏手の公園を眼下に望める

左:吹き抜けで1階LDKと2階の子ども室、主寝室がつながり、家族がどこに居ても互いの声が届く 右:水まわりは2階に集約。ユーティリティは洗濯室を兼ね、タイルや実験用シンクを採用した造作洗面台を設えた

Iさんが「素足でいるのが心地よい」というカラマツの床は、施工中にご夫妻自ら仕上げ塗装を施したもの。「キッチンの天板も、使って拭き上げるほどに艶が増すんですよ」と奥さん。林を望む木の家は、ご家族の暮らしに磨かれるほどに、艶やかな表情を見せてくれることでしょう。

Replan北海道vol.128掲載