民家再生の種類と
優先順位を次のように考えています。
- 現地
再生 - 移築
再生 - 部分
再生 - 古材の
利用
民家の再生は
おおむね次のような流れで進みます。
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01現地調査
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02解体 / 設計
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03古材の整理と洗い磨き
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04構造材補充
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05再築
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02解体 / 設計
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04構造材補充
モダンクラシック 民家
私達の心の故郷――民家は蘇る
民家は庶民の暮らし生業の器です。そして長い歴史の中で名もなき職人達によってつくり伝えられてきた「日本の住文化」のシンボルです。しかし、第二次世界大戦後の社会・経済の変化がもたらした生活様式の変貌により多くの民家が壊され捨て去られてきました。民家が解体される理由は「暗い、寒い、不便」です。しかし、民家が本来内包する豊かさは再生することによって蘇り、現代の私達に多くの大切な事柄を教えてくれるのです。
民家再生の意義
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まず第一に、伝統的木造建築の素晴らしさです。素晴らしさの根幹は伝統木構法にあります。「構造即意匠」といわれ、無駄をそぎ落としたシンプルで洗練された木造軸組架構の美しさとその力学的合理性は今、現代建築の中にこそ生かされるべきものです。
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第二に、民家に使われている古材(こざい)の再利用です。木材は本来乾燥することによって強度を増し、素材としてその安定性を発揮していきます。まだ充分使える古材をその樹齢以上に使いまわしていくことにより、日本の山の木を循環させることにもつながります。また、古材の利用は3R(リデュース・リユース・リサイクル)の思想とも一致しています。環境問題が世界的課題となっている現在、これらはきわめて今日的意義を有していると思います。さらに、自然素材である木材が古びることによって醸し出される独特の美しさは、工業製品のあふれる現代においてこそ見直されるべきものと思います。
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第三には、このような民家を解体・再生する大工の技の継承です。日本の伝統木造建築は世界最高のレベルであり、それを支え発展させてきた大工の技術体系もまた間違いなく世界最高のものと思います。しかし戦後の高度成長経済政策、大量生産大量消費社会の中で伝統的徒弟制度は崩壊し、素晴らしい大工の技は衰退してきました。民家の解体・再生こそ、これらの技術を学ぶ大工の最も良い勉強の場であるのです。
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第四に、解体・再生に係わることでその家の歴史に触れることになります。家の歴史は地域の歴史であり、その地方の文化をも改めて知るキッカケをつくってくれるのです。現代のグローバリズムの嵐の中で、地域に根ざした家づくりの大切さを確認する良い機会を与えてくれるのです。
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第五に、民家再生の過程では日本の住文化、日本人の伝統的な暮らし方の良さを改めて知ることにもなります。自然と調和し、四季折々の気候の変化を感じながら暮す日本人の精神風土の奥深さに触れることにより、現代を生きる私達の生活の方向性を見いだす一助となるのではないかと思うのです。