幕末の頃、明治維新が1968年だから今からたかだか135年前の話で、「こんな時代だったんだ。」ということを強く再認識させられた次第です。いったい、歴史の授業で僕は何を学んでいたんだろう?
というのは、徳川300年の体制がまさに崩壊しようとする、それまでの安定した時代から、飢饉も連続して続き「口減らし」や、刀での殺し合いはしょっちゅうありの物騒な世の中で、まさに時代の転換期に突入していった頃のことを、1冊の小説を通じてはじめて学んだ気がするからです。そんな中で南部(藩)の武士としての『義』を貫き通して生きていくしかなかった、新撰組吉村貫一郎とその家族の物語。そして、ほんの135年でこんなに日本の国の生活は豊かになり、コンピューター社会へと発展を遂げた。
明治維新のタイミングとその後の政府の方針が良かったのか、はたまた第2次世界大戦の敗戦があまりにも強烈だったからなのか、僕自身の認識だけなのか、ちょっと前のこんな時代の感性が、置き忘れされかけていたんだと思います。
だからかもしれない、80万部という多くの人に読まれてしまうという理由は。これを読んで感動し涙する人が、まだまだいっぱいいたんだということは、日本もまだ捨てたもんじゃないです。
そして、ぜひ見てみたかった映画化された中井貴一演じる(とってもはまり役だった)吉村貫一郎を見てきました。12時45分開演で、2〜30人の行列ができていました。本を読んではらはらと泣かされ、再び映画館ではらはらと泣かされ、感動、さらに感動でした。
『蒼穹の昴』もグイグイと引き込まれましたが、これもまさしく読ませます。さすが、浅田次郎!です。
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