浅田次郎
1951年 東京都生まれ。                
1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、    
1997年『鉄道員』で直木賞、              
2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞する。
他の著書に『蒼穹の昴』『霞町物語』『シエラザード』など



講談社文庫 2001/01出版 \552(税別)



講談社 (1998-02-25出版)¥1600(税別)


陸上自衛隊出身、ピカレスク人生経由、現在小説家。
今や超多忙で絶好調、超有名とサクセスした直木賞作家が、理不尽な宿命を笑いとばす自伝的熱血エッセイ。
涙あり笑いあり怒りあり哀しみあり、おのれの目標めざして突き進んだ男の、体を張った文章は、読めば思わずパワーが湧いてくる!元気が出る一冊。
(シリーズ1冊目の宣伝文)


小説には吐き出しきれぬ思いが、本書にぎっしりと詰まっている。
まさに、嵐のごとく。
爆笑、感涙の最新エッセイ。


オーバーワークについて
ふたたび老化について
B・G・Mについて
邂逅について
ヒロシの死について
大邂逅について
童貞について
電話について
方向オンチについて
生涯について〔ほか〕


紀伊国屋書店bookwebより
https://bookweb.kinokuniya.co.jp/hb/



 おもしろいから読めと渡されて、しばらくその友がマンションから出てくるまで待たされている間に、
「ヒロシの死について」まで一気に読み進んでました。
 ヒロシとの小さい頃の話の書き出しから、グッと引き込まれて、こりゃ〜たまんないなあと思いながら、だんだん涙なみだモードに入っていく自分が、もう制御できない状態と気がついたときには、溢れ出る涙をとめることができませんでした。最後まではティッシュのお世話にならずに読み切れると思ったのですが、やはりだめでした。
 まさに感涙!
 いったいこんなに悲しいけど、いい話がほんとうとにあったのだろうかとすら疑いたくなるくらいに、悲しくていい話だ。
 この話だけでも、この本の価値は十分だよね。
 あとでこの話を知らない友人に、語って聞かせた時にも途中何度か悲しみに詰まってしまって、また涙モードになりながら、やっと語り終えたほどでした。

 たまたま、この「勇気凛々ルリの色」シリーズ「福音について」から読むことになったんですが、他の3冊が非常に楽しみになりました。「プリズンホテル」も、たいそう面白そうだし、これでしばらく至福の時をいっぱい味わえそうです。




講談社文庫最新刊「勇気凛凛ルリの色・満天の星」

その2

   
集英社文庫「プリズンホテル」夏・秋・冬・春

---ぼくの髪の毛を掴んで引きずり上げると、仲オジは雷鳴のような声でこう言った。

「なにをグタグタ言ってやがる。毎日これだけ修業したから、今のおめえがあるんじゃねぇか。親の言いつけにまちがいははねえんだ!」

『プリズンホテル1夏』
の最終17章。

各章にある見出しのせりふ、この17章のせりふだけは、これがピッタリくるんだけど・・
母親に捨てられた小説家の孝ちゃん(木戸孝之介)が30年ぶりの対面で、
毎日欠かさず書いた30年分の日記の数々をぶちまけながら、
その母親に当たり散らすシーン。
だって強烈に心に響いてくるよ。



そして、再び自らの意思で殺人を犯して手錠を引かれていく
小説家のクライマックス!

---浴衣の前をはだけ、それこそ死体が甦ったようなボロボロの姿で、「待って、待って」と繰り返し叫びながら、小説家はガッシリと男の首を抱いた。

「なにか、リクエストはあるか……
「そうですねぇ---女子供が幸福になる話っていいですね。懲役にゃ、それが一番ウケます。そういう小説、あんまりないから。それが書けるのァ先生、あんただけですよ。オレのリクエストは、それだけです」


と、複雑で屈折した人間関係を見事に描ききっていて、
まさに感涙!



b u n k a